COLUMN

内受容感覚 と 心身医学

  • 「体調が良い」「体調がよくない」
  • 「緊張している」「リラックスしている」
  • 「お腹が空いている・満腹だ」

このようなからだの内部の生理的な状態を捉える感覚システムを「 内受容感覚 」といいます。いわば「からだの内部センサー」です。
体調が悪いのに、それに気づかずがんばり過ぎてしまうと、ついには倒れてしまいます。この内部センサーは、健康を維持する上でとても重要です。

内受容感覚 の機序

では、どのようにしてからだの内部の状態をとらえているのでしょうか。内受容感覚 の機序はあまりよくわかっていなかったのですが、脳科学(ニューロサイエンス)の発展に伴って、その機序が少しずつ解明されてきました。

内受容感覚 のセンターは、「島皮質」や「大脳辺縁系」など、自律神経などの生理的な調整機能を担う領域にあるようです。脳の機能的レベルでは、真ん中の大脳辺縁系のレベルです。

これは、普通に意識される高次精神機能や認知機能に関与する部位よりも少し深いレベルで、普段の生活ではあまり意識していません。ですが、私たちは日々このセンサーのおかげで、心身の健康を維持しています。

心とからだの気づき

意識に上る心身の感覚を「気づき」(awareness)と呼ばれます。
自身の感情やからだへの「気づき」は、心身の健康やストレス関連疾患の治療においても重要です。これが適切でないと、ネガティブな感情に気づかずに発散できず、身体の不調につながってしまうこともあります。また、満腹なのに食べ過ぎてしまって、心身の健康を壊してしまいます。ダイエットにも関係します。

からだへの気づきが感情の基盤になる

内受容感覚 は、この心やからだへの気づきの基盤になっています。のみならず、喜怒哀楽などの「感情」の形成に深く関与するとされ、心理学でも研究が進められています。いうまでもなく、感情は生きていく上でとても重要なものです。

内受容感覚 がよいと心身への気づきもよく、自律神経などのからだの働きもよくなり、判断も適切にできます。さらには豊かな感情によって、より潤いのある生活が送れるのです。

このメカニズムがさらに解明されると、自分の心やからだと上手に向き合って健康を高める可能性が広がり、医療においては、ストレス関連疾患へのよりよいアプローチが見えてくるのではと期待されます。