RESEARCH

日常生活における心身モニタリングと ストレス 評価< 内受容感覚 が鍵か?>

日常生活での ストレス 評価

ストレス 評価においては、施設内での評価のみならず、日常生活下での評価やセルフケアが重要です。
本研究では、スマートフォンやウェアラブルデバイスを用いた計測や解析技術を応用し、日常生活下でのストレス評価の方法を確立し、 日常生活下での生理・心理評価とストレス関連疾患や心身の健康との関連、 内受容感覚 との関係について検討しています。

日常生活でのストレス評価においては、生理・心理状態の経時的な変化の指数化に加え、週や日といった時間スパン毎の変化のパターンが重要です。

  • 1日単位の変化<日中の活動と夜の就眠などのリズムや変化>
  • 1週単位の変化<ウィークデイとウィークエンドなどのリズムや変化>
  • さらに長い単位での変化<季節ごとのリズムや変化>

などでその意義が異なるからです。
このような変化のパターンが心身の健康に関与しており、ストレス評価において重要であることが示唆されています。

課題と問題点

社会活動や心身の疾病に及ぼすストレスの影響はますます大きくなっており、昨今のコロナ禍においてもその重要性が増しています。そのような中、さまざまな健康管理デバイス(アプリ)やヘルスマネージメントシステムが開発されています。このようなシステムにおいてはいくつかの問題が示唆されています。

  • <データ解析>大量のデータが得られるが、それをどのように解析して、ストレスマネージメントや健康管理につなげるか。
  • <モチベーションの維持>最初は興味を持って測定を始めても、なかなか続けるのは難しいケースが多いものです。どのような状況の人を対象とするかによっても異なりますが、さまざまな工夫が必要です。
  • <検証の難しさ>このようなシステムは、介在因子も多く複雑であり、その意義や効果の検証が難しいのが現状です。
  • <フィードバックの問題>単に計測するだけでなく、その情報をいかに自身にフィードバックするか(モニタリング)が重要です。その場合、どのようにフィードバックするかが課題です。

内受容感覚 との関係

健康管理やストレスマネージメントにおいて、身体の内的な状態を把握する機能「 内受容感覚 」が重要であることが分かってきました。日常生活における心身モニタリングは、この内受容感覚の機能を高めると考えられます。
この場合、生理的な計測「客観的評価」とともに、自身がどのように感じたか「主観的評価」との関係が鍵となります。

自分で情報を把握してそれを健康管理やストレスマネージメントに生かしてこそ、情報は生かされます。どのような計測を行い、どのようにモニタリングして、どのようにフィードバックすれば、内受容感覚を高め、健康管理やストレスマネージメントにつながるのか。

生理・心理指標の週間・日内リズムや変化のパターンに着目し、心身の健康との関連を模索した本研究は、今後、各企業と連携してストレス評価やストレスケアシステムの開発を進める上で、基盤知見となることが期待されます。

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