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機能性疾患における心拍変動のストレス反応パターン

Stress Response Pattern of Heart Rate Variability in Patients with Functional Somatic Syndromes.
Saka-Kochi, Y., Kanbara, K., Yoshida, K. et al.
Appl Psychophysiol Biofeedback (2023). https://doi.org/10.1007/s10484-023-09608-z

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機能性身体症候群(Functional Somatic Syndromes:FSS)は、臨床的に重要な疾患群であり、ストレスに関連することが多く、心拍変動(HRV)の減少を含む自律神経病態生理が報告されている。しかし、FSSにおける精神的ストレスに対する反応パターンと回復については、不明な点が多い。

そこでわれわれは、FSS患者における精神的算数ストレスに対する自律神経ストレス反応と回復のパターンを、健常対照群と比較して明らかにした。

日本の大学病院心療内科を受診した比較的重症のFSS患者79名と健常対照者39名を対象とした。気分に関する質問票と疫学的情報に続いて、HRVを3つの期間(各5分間)で測定した:①リラックス時のベースライン、②ストレス(暗算課題)、③ストレス後の回復期。

健常対照群に比べ、FSS患者は、気分質問票の得点が有意に高く、罹病期間が長く、日常活動の機能性が低下していた。

健常対照群は迷走神経HRVの有意な低下と回復を伴う顕著なストレス反応パターンを示したのに対し、FSS群は「平坦な」迷走神経ストレス反応パターンを示した:FSS群のHRVはベースラインで低く、ストレス中も低いままであり、ストレス後も変化しなかった。

重症のFSS患者では、ストレス反応パターンが変化している。今回の結果は、このような患者の診断と治療に重要な手がかりを与え、ストレスと病気の関係解明への手がかりとなる。

データサイエンス時代の心身医学におけるバイオフィードバック

「データサイエンス時代の心身医学におけるバイオフィードバック」
 神原 憲治. バイオフィードバック研究/50 巻 1 号, 2023

近年,バイオフィードバックをとりまく情勢が大きく変化しつつある.ハード面では,ウェアラブルデバイスと呼ばれる携帯型デバイスの普及,スマートフォンなど、端末の進化,オンライン技術の普及などがある.ソフト面では,機械学習や人工知能などによるデータサイエンスの急速な進歩や,バーチャルリアリティなど新しいシステムの出現など,話題に事欠かない.このような変化の中,バイオフィードバック学会はトレンドだけを追いかけるのではなく,それらの環境を上手に生かしながらも,独自の発展が期待される.
 今日の情勢の中においてバイオフィードバックにはどのような意義があり,どのような方向に向かうべきかを,心身医学の観点から論考してみた.

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